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2026.01.25

和牛ビジネスの始め方|輸出で失敗しないための基本と実務

目次

  1. 1. 和牛ビジネスの全体像:まず“どの立ち位置”で輸出するか決める
    1. 1-1. 輸出の主なプレイヤー:生産者・食肉センター・商社・販売者
    2. 1-2. 自社で持つべき機能/外部に任せるべき機能
    3. 1-3. 「和牛 商社」と「専門仲介」の違いを整理する
  2. 2. 失敗しやすいポイント:和牛輸出が“雑貨と違う”理由
    1. 2-1. 仕向先国ごとに「輸出できる施設」が限られる
    2. 2-2. 規格(スペック)のズレで、取引が止まる
    3. 2-3. コスト増より怖い“品質リスク”と信用問題
  3. 3. 取り扱い商品の決め方:1頭か、部分肉か、最低ロットか
    1. 3-1. 1頭単位のメリット・デメリット
    2. 3-2. 部分肉単位で始める現実的なルート(最低発注ロットの考え方)
    3. 3-3. ターゲット業態別:焼肉・ステーキ・日本食で変わる設計
  4. 4. 商品提案が勝負を決める:部位×カット×用途の考え方
    1. 4-1. 牛肉は部位ごとに“美味しさの強み”が違う
    2. 4-2. 料理・提供スタイルから逆算して「カット」を提案する
    3. 4-3. “美味しい”を再現できる商品化アドバイスが価値になる
  5. 5. 調達と供給の実務:信頼関係があると何が変わるか
    1. 5-1. 食肉センターとの信頼関係があると、調達が安定する
    2. 5-2. 精肉店として培った仕入れネットワークの活かし方
    3. 5-3. 仕向先国の要件に合わせた提案・調達・提供の流れ
  6. 6. 相談窓口:最短で前に進むために、最初に決めること
    1. 6-1. 仕向先国/販売チャネル/必要な規格(スペック)を整理する
    2. 6-2. “可能な範囲”を確認し、現実的なプランに落とし込む
    3. 6-3. お問い合わせ後の流れ:ヒアリング→提案→調達→提供

はじめに

和牛輸出は、雑貨の物流とは根本設計が違います。輸出可否は国ごとの認定施設、工程、温度管理、規格設計で決まり、関係者も多層です。本稿は、初動で決めるべき論点と、途中で止まらないための実務視点をまとめたものです。

1. 和牛ビジネスの全体像:まず“どの立ち位置”で輸出するか決める

1-1. 輸出の主なプレイヤー:生産者・食肉センター・商社・販売者

  • 生産者:肥育や繁殖を担う。原料調達の起点。
  • 食肉センター(屠畜・加工):屠畜、枝肉化、正肉ブロック化、輸出用のスペック加工まで対応。国別の輸出認定がボトルネックになりやすい。
  • 商社・フォワーダー・インポーター:契約、国際輸送、通関、検疫、現地引き渡しを担う。肉輸出の経験値が品質維持と歩留まりに直結する。
  • 海外販売者:レストラン、リテール、卸。提供メニューと回転に合わせて必要規格を定義する役割が重要。

1-2. 自社で持つべき機能/外部に任せるべき機能

  • 自社で持つと効果が高い:販売戦略、メニュー構成、必要スペックの決定、需要予測、販促。
  • 外部に任せると合理的:屠畜・輸出要件を満たす加工、国別規制対応、国際輸送、通関・検疫。初動で線引きを明確化しておくと、計画変更が起きても止まりにくい。

1-3. 「和牛 商社」と「専門仲介」の違いを整理する

  • 商社:量と再現性が強み。契約や与信、安定供給に向く。
  • 専門仲介(調整役):部位×カット×用途を言語化し、加工所と物流へ正確に落とし込む“肉加工の通訳”。小回り、仕様精度、現場調整に強い。案件性質によって併用が最適。

2. 失敗しやすいポイント:和牛輸出が“雑貨と違う”理由

2-1. 仕向先国ごとに「輸出できる施設」が限られる

同じ日本国内でも、輸出先によって使える食肉センターが異なる。ここを先に確定しないと、受け皿がなく計画が進まない。国別の要件確認を初回打合せの最優先に置く。

2-2. 規格(スペック)のズレで、取引が止まる

枝肉から正肉、さらに輸出用カットに落とす際に設計が必要。例:腕を分割する場合、ミスジ、ウワミスジ、クリ、トンビ、二の腕のどこまで分けるか。焼肉なら薄めの長方形、ステーキなら一定厚のロイン面積など、厨房の再現性から逆算する。仕様が曖昧だと加工ラインが止まり、納期とコストに跳ねる。

2-3. コスト増より怖い“品質リスク”と信用問題

温度帯、氷量、梱包形態、現地空港の保管設備の性能差が品質に影響する。再凍結やドリップ増はクレームに直結。輸出国と空港から逆算した梱包設計が必要。

3. 取り扱い商品の決め方:1頭か、部分肉か、最低ロットか

3-1. 1頭単位のメリット・デメリット

  • メリット:同一個体でメニュー設計ができ、ストーリー性が生まれる。
  • デメリット:在庫負担、回転差、資金繰りの波。販売計画が未整備だとリスクが大きい。

3-2. 部分肉単位で始める現実的なルート(最低発注ロットの考え方)

主力メニューに必要な部位から着手し、必要最小ロットで輸送効率を満たすのが現実的。まずは売れる形に絞り、需要が読めたらライン拡張する。

3-3. ターゲット業態別:焼肉・ステーキ・日本食で変わる設計

  • 焼肉:スライス厚、長辺の取り、サシの出方、歩留まり管理。冷凍解凍の挙動も考慮。
  • ステーキ:部位の性格×厚み×焼成時間の相性テスト。提供温度と休ませ時間まで含めた再現性を事前確認。
  • 日本食:下処理の容易さ、規格の安定、ロス最小化。端材活用の設計も同時に決める。

4. 商品提案が勝負を決める:部位×カット×用途の考え方

4-1. 牛肉は部位ごとに“美味しさの強み”が違う

赤身のコク、脂のキレ、繊維方向と噛み心地、含水率の違いなど、特性に応じて提案する。単なる部位名ではなく、狙う食体験に沿ったロジックが必要。

4-2. 料理・提供スタイルから逆算して「カット」を提案する

提供枚数、皿サイズ、焼成デバイス、ピーク時のオペレーションから厚み・面積・形状を決定。厨房の再現性が上がるほど、原価とクレーム率は安定する。

4-3. “美味しい”を再現できる商品化アドバイスが価値になる

試食サンプルの段階で、焼成温度帯、解凍手順、カットの向きを共有し、同じ結果が現場で出るように書面化。味の主観ではなく工程で再現するのが要点。

※本節は「一般論+提案方針」のスタンスで記述しています(断定は避けています)。

5. 調達と供給の実務:信頼関係があると何が変わるか

5-1. 食肉センターとの信頼関係があると、調達が安定する

輸出枠の確保、繁忙期の加工順、仕様の微修正など、事前の合意とやり取りの速さが納期と品質の安定を生む。

5-2. 精肉店として培った仕入れネットワークの活かし方

部位単位、小ロット、用途別の原料取り回しが可能になり、テストから本番への移行が早い。余剰の扱いも柔軟に設計できる。

5-3. 仕向先国の要件に合わせた提案・調達・提供の流れ

  1. 輸出可能施設の特定
  2. 必要スペックの定義
  3. 加工手順の合意
  4. 温度帯・梱包・氷量の設計
  5. フォワーダーと輸送動線の擦り合わせ
  6. 現地の保管と引き渡し方法の確認

各段で役割分担と責任範囲を明文化しておくと、現地での想定外を減らせる。

6. 相談窓口:最短で前に進むために、最初に決めること

6-1. 仕向先国/販売チャネル/必要な規格(スペック)を整理する

  • 仕向先国または想定エリア
  • 販売チャネルと提供業態(レストラン、リテール、卸)
  • 想定メニューと必要カット(厚み、面積、形状の希望)
  • ロット感、希望納期、温度帯(冷蔵か冷凍か)

ここが固まるほど、実現可能なルートの提示が早くなる。

6-2. “可能な範囲”を確認し、現実的なプランに落とし込む

国別の輸出可否、時期、空港事情、輸送便の頻度から、品質を落とさない条件に組み替える。必要に応じて代替案を提示し、段階導入に切り替える。

6-3. お問い合わせ後の流れ:ヒアリング→提案→調達→提供

初回は状況整理から。スペック仮決めのうえ小規模サンプルで検証し、本ロットへ拡張する。工程を段階化することで、品質とコストの双方を守れる。

最後に

和牛輸出は、誰がどこで“つなぐ”かで成否が変わります。設計と調整を最初に整えれば、後工程は驚くほどスムーズです。まずは現在の構想を共有ください。商流のどこを自社で担い、どこを外部と組むかを一緒に整理し、実現性の高いルートに落とし込みます。


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