「経産牛」とは、出産を経験した雌牛のことを指します。私たち1129では、その中でも特に“黒毛和牛の経産牛”にこだわり、選び抜かれた牛だけを取り扱っています。
多くの方が黒毛和牛と聞いて思い浮かべるのは、高級な霜降りの未経産牛かもしれません。しかし、実はこの“黒毛和牛の経産牛”こそが、肉本来の旨みを知る人にとって隠れた存在となっています。
経産牛の赤身は、一言でいえば「熟成された旨み」が凝縮されています。それは、長年の繁殖という役目を果たしてきたからこそ得られる、未経産牛にはない“成熟した肉質”によるものです。体内でゆっくりと時間をかけて育まれた成分が、肉に濃厚な旨みをもたらします。これこそ、自然が生み出す「生体熟成」です。
経産牛は出産を終えた後、痩せ細った体をもう一度じっくりと育て直す「再肥育」が必要です。1129では、特に経産牛に対して手間を惜しまず、時間をかけて旨みを蓄えさせています。効率重視ではなく、旨みを最優先したこの過程が、特別な味わいを生み出しています。
1129では、経産牛の再肥育にだけ伝統的な「炊きエサ」を用います。国産の米ぬかや大豆、大麦、ふすまを独自にブレンドし、丁寧に炊き上げたエサは消化が良く、牛に負担をかけずじっくりと旨みを育てます。この手間が、他にはない深い旨みを生み出しているのです。
長年、「霜降りこそが良い肉」という価値観がありました。しかし今、脂に頼らない肉本来の旨みを求める声が増えています。経産牛はサシ控えめ。その分、赤身に凝縮された濃厚な旨みをしっかりと味わうことができます。
経産牛の赤身は、噛むほどに旨みが広がるのが特長です。脂ではなく、肉そのもののコクと深みを楽しめる、これまでにない肉体験を味わえます。
経産牛の赤身は鮮やかな赤ではなく、落ち着いた小豆色をしています。この色こそ、長く生き抜き熟成された旨みを蓄えた証です。見た目に惑わされず、一口食べてその違いを感じていただきたいと思います。
かつては「においが気になる」と言われることもありましたが、今は再肥育の工夫により臭みはほとんどありません。1129では炊きエサを用い、負担の少ない環境で育てることで、すっきりとした香りの赤身を実現しています。
経産牛の赤身は、シンプルに塩だけで焼き上げたステーキがおすすめです。余計な味付けをせずとも、噛むほどに広がる赤身の旨みをしっかりと楽しめます。
経産牛は噛むたびに旨みがじわじわと広がるのが特長です。脂に頼らない自然なコクを、ぜひゆっくりと噛みしめながら味わってみてください。
効率を求めず、手間を惜しまないからこそ生まれる経産牛の特別な旨み。1129はその価値に誇りを持ち、これからも変わらぬこだわりを貫いていきます。
霜降りだけが「良い肉」ではありません。赤身の旨みをじっくりと味わう──これからは、そんな新しい牛肉の楽しみ方が求められる時代です。ぜひ一度、黒毛和牛の経産牛を味わってみてください。