いまや「WAGYU」は世界共通語になりつつあります。ミシュラン星付きのレストランからローカルの日本食店まで、海外の飲食業界では“本物の和牛”の提供が一つのステータスになっているほどです。
しかし、現地で求められる和牛のスペックは一様ではありません。ステーキ用途、焼肉用途、寿司ネタ、さらにはしゃぶしゃぶ・すき焼きといった用途ごとに、カットの仕方も、脂の入り具合も、求められる部位も大きく異なります。
高額な和牛を「無駄なく、歩留まり良く」使いたいという現場の声に応えるには、ただ美味しい肉を輸出するだけでは不十分。まさに“現場目線の対応力”が求められています。
和牛の輸出が難しい理由の一つが、情報の非対称性にあります。例えば、現地の料理人が「肩ロースがほしい」と言っても、それが日本側の業者に正確に伝わらない──そんなことが頻繁に起きています。
日本の畜産現場では、枝肉や部分肉をいかに効率よく処理し出荷するかが重視されますが、その部位がどんな料理に使われるのか、どのサイズ感でほしいのか、現場の要望を理解しながら調整する通訳のような役割の人材がいないのが現状です。
その結果、せっかく輸出した和牛が「思ったのと違う」と返品されたり、現地の飲食店がロスを出してしまうという事態に。こうした“ミスマッチ”こそが、和牛輸出が広がりにくい最大の原因のひとつなのです。
私たち1129は、単なる和牛輸出の業者ではありません。実は、国内で飲食店を自ら経営している現場プレイヤーでもあります。日々、仕入れやカット、調理の現場に立ち会っているからこそ、「現場でどんなカットが喜ばれるか」「どんな部位はロスになりやすいか」といったリアルな課題を肌感覚で理解しています。
例えば、現地の日本食レストランが仕入れた和牛の一部が「思っていたサイズと違った」「メニューに活かしにくかった」といった理由で使いきれずにロスになるケースは珍しくありません。そうした“もったいない”を防ぐために、飲食店目線でのスペック提案が必要なのです。
たとえば、「カルビ」と一口に言っても、実際には複数の部位にまたがります。バラ肉でも「外バラ」と「中バラ」でまったく味も用途も異なる。焼肉店なら外バラの歯ごたえを好むこともあれば、ステーキ店では中バラの脂の乗りを求めることもあるでしょう。
私たちは、そうした用途別の違いを理解したうえで、現地店舗のメニューや提供スタイルに合わせたスペック加工を提案できます。現場感覚で“使いやすい状態”を逆算して手配できるから、仕入れミスマッチを未然に防ぐことができるのです。
和牛を海外に届けるまでには、複数のステップと関係者が関わります。
この中で、私たちは「仲介+通訳+現場目線での提案」という3つの立場を兼ね備えています。つまり、生産現場のこだわりを理解し、現地のニーズに合った形で翻訳・伝達し、実務まで橋渡しする存在です。
私たち1129では、生産者(畜産農家)・通訳・輸出仲介という役割がすべて自社で完結しています。そのため、意思疎通にズレが起きにくく、スムーズな手配が可能です。
また、国内の屠畜加工所や輸出対応可能なフォワーダーとも信頼関係があり、やりとりが滞ることなく進行できます。誰に何を依頼すればよいのかわからず立ち止まってしまう輸出の壁も、私たちのネットワークで支援できます。
私たちはメーカーでも輸入業者でもない、“中間支援者”という柔軟なポジションを活かして動いています。だからこそ、小規模なロットや複雑な仕様にも臨機応変に対応が可能。生産者からの「こうしたい」、海外販路側からの「こうしてほしい」の間に立ち、それぞれの事情を汲んで調整できるのが、私たちの最大の強みです。
和牛輸出では、単に「部位を輸出すれば良い」という話ではありません。たとえば、「腕肉がほしい」といっても、実際には「ミスジ」「うわみすじ」「クリ」「トンビ」「ニノウデ」など、用途に応じて細かく分ける必要があります。
しかし、仕入れ側が「どの状態の何の部位が必要なのか」を明確に伝えられなければ、日本側のメーカーも対応できません。その結果、「欲しかった形と違う」「使いにくい」といったトラブルになり、最悪の場合は返品・損失につながります。
多くのメーカーは輸出対応の実績も知識もありますが、「誰にどう届けるか」「どんな用途で使われるのか」までは把握できません。一方で、海外のバイヤーや飲食店は「使いやすい状態の肉」を求めていても、日本式のカット構造や部位名を知らないことが多く、意思疎通がうまくいきません。
こうした間を埋める“通訳”のような存在が、業界には決定的に不足しています。
私たちは、直営の飲食店運営を通じて「現場で使いやすい肉の状態」を熟知しています。さらに、畜産現場との連携により、「この部位はこう処理する」「この牧場ならこう育てる」といった細やかな情報を持っています。
その双方の立場を理解できる私たちだからこそ、「現地が本当に求めている肉の状態」を具体的に伝え、日本側の生産現場としっかり繋ぐことができます。
和牛を輸出する際に重要なのが「どんな用途で」「どの国へ」届けるかという視点です。そのために必要なのが、スペック加工(用途に合わせた部位選定とカット指定)、条件に合う牧場や産地の提案、必要に応じたハラル対応屠畜場の選定といった、きわめて専門的な実務。
私たちは単なる“通訳”ではなく、実際の仕様提案・交渉・段取りまでも担うことができます。複雑な調整も一本化して対応できるのが、私たちの強みです。
私たちは大手のように月単位で何トンも輸出する規模ではありませんが、その分フットワークは軽く、小規模・個別ニーズに応じた対応が可能です。
たとえば、海外の飲食店経営者や、個人で輸出ビジネスを始めたい方、食品メーカーとの販路を持つ方など、現場に近いプレイヤーにとって「融通が利く相手」は何よりも心強いはずです。
「和牛を海外に届けたいけれど、どこから始めればいいのかわからない」そんな方には、まず状況をヒアリングし、必要に応じて最適なルートや調達先をご提案します。
現地でどんな肉が求められているのか、それに対してどんなスペックが適しているのか──難しい専門用語を噛み砕いて一緒に考え、必要なステップを並走します。輸出の“入口”として、まずはご相談いただければ嬉しいです。
和牛輸出には、国ごとの検疫や認可、フォワーダー選定、スペック指定といった高いハードルがあります。そして最大の課題は、「現地で求められる肉の状態」と「日本側メーカーが対応できる仕様」とのすり合わせ。
私たちは、飲食店を実際に運営してきたからこそ、現場目線で「何が必要か」が分かるパートナーです。だからこそ、生産現場と海外販売先の間に立ち、仕様・条件・言葉の壁を越えて“かゆいところに手が届く”調整ができるのです。
畜産農家、認定加工所、仲介者(私たち)、フォワーダー、インポーター、そして最終的に和牛を必要とする海外の飲食店や業者。この一連の流れの中で、私たちは生産者から通訳、仕様調整までを一手に担い、全体の橋渡し役として機能しています。
雑貨や一般食品のように単純ではない「和牛の輸出」だからこそ、専門性のある人材が必要です。“和牛を海外に届けたい”と思ったとき、あなたのそばにいて並走できるパートナーでありたい──それが私たち1129の想いです。